歴史
フランス人、ポール・ショフール(Paul E. Chauffour D.O.)により1970年代後半から始められた、新しいコンセプトのオステオパシーです。
その後、メカニカルリンクの団体(LMO)を創設され、エリック・プラット(Eric Prat D.O.)をはじめとする他のオステオパスが協力して、新たな技術の開発や理論の発展をはかり、留まることのない進化を続けています。
現在では、フランスを中心としてヨーロッパ、北米、日本など数多くの国でメカニカルリンクが実践されています。
理論
オステオバシー創設者 A.T.スティルの概念に沿った伝統的な部分と、
『構造が機能を支配する』
『原因を探して治療せよ、そして放置せよ』
『動脈の法則は絶対的である』
『神経系の自由さ』など
今までのオステオパシーで取り扱ってこなかった新規性の部分を合わせ持っていて、
『骨内力線・関節離開』
『動脈系』
『神経系』など
身体全体を機能ユニットが集まった『系』としてとらえ、診断と治療を行います。
『オステオバシー病変』を結合組織の瘢痕化として定義して、全身を繋いでいるすべての結合組織を検査してオステオバシー病変を特定します。
それを階層化して最も身体に影響を与えているオステオパシー病変に対して治療を加えることにより、効率的に機能障害の回復を図ります。
メカニカルリンクでは診断と治療に下記の3つのツールを使用します。
① 構造の診断方法(テンションテスト)
メカニカルリンクでは骨、関節、臓器、筋肉、靭帯、神経、動脈など身体の様々な構造の詳細な触診検査に基づいています。
組織に圧迫または牽引を行い、組織の制限をテストします。非常に正確、厳密、再現性のあるプロトコルに従って全身をテストします。
これらのテストのリストと方法はLMOセミナーで習得していきます。
② 抑制バランステスト
術者は上記のテンションテストにより、特定された全身の組織の制限を比較し、最も組織の抵抗がある部位を特定します。このオリジナルなLMOメソッドのツールは抑制バランステストと呼ばれます。
実際、患者のバイオメカニクスのアンバランスを引き起こしている起源となる原発性の組織抵抗は症状から遠く離れた部位に見つかる可能性があります。
この抑制バランステストにより、治療をどの部位から始めるべきかを知ることができます。
③ 治療(リコイル)
① 、②のステップによって検出された、全身の中で最も抵抗がある組織をプライマリー病変と呼びます。
プライマリー病変の組織の抵抗に対し、非常に短く、素早いインパルスを加え、固着した固有受容器の情報をリセットし、組織の抵抗をリリースします。この治療動作をリコイルと呼びます。リコイルにより組織の弾力性がとり戻されます。
リコイルはLMOの独自の治療ツールです。
プライマリー病変をリリースすると、他の部位に検出された二次的、三次的な組織抵抗が連鎖的にリリースされます。
プライマリー病変をリリースした後にも抵抗が残されたすべての部位に再度、抑制バランステストを行い、その中で組織抵抗が最も大きい部位にリコイルを行います。
この手順を繰り返し、検出されたすべての組織抵抗を持った部位がなくなった時点で、その日の治療を終了します。
リコイルは身体のすべての構造(関節、骨、臓器、筋肉、靭帯、神経、動脈など)に使用することができます。